▼正常な炎症とPTI  ▼PTIと炎症性メディエーター  ▼腫瘍微小環境とは12-14)  ▼PTIはがんドライバーの1つ

 

腫瘍促進性炎症(PTI)とは

Ⅲ.腫瘍促進性炎症(pro-tumor inflammation:PTI)とは? 

 

正常な炎症とPTI

炎症は、感染症や病気に対する正常な免疫応答です1-3)図1)。
  病原体が身体に侵入すると炎症が引き起こされます。
  炎症部位で自然免疫が発動します。
  その後、炎症が治まり、免疫応答が収束します。
炎症が適切に制御されないと、健康を害する可能性があり、がん細胞の増殖やがんの進行をもたらす要因となります1,4-6)。これは、腫瘍促進性炎症(pro-tumor inflammation:PTI)と呼ばれています。
  PTIは、発がん、増殖リスクの1つと考えられています7,8)
  PTIは、非小細胞肺がん(NSCLC)に関連しているという報告があります9)。   

 

PTIと炎症性メディエーター

PTIの働きは炎症性メディエーターを介していると考えられています10,11)図2)。
  1. 発がんプロセスを促進し、がん細胞の増殖とがんの進行を促進します。
  2. 腫瘍微小環境(tumor microenvironment:TME)を変化させることにより、腫瘍に対する免疫応答を抑制します。
PTIには様々な細胞(マクロファージなど)やサイトカイン(インターロイキン、TNF-αなど)が関与しており、TMEにおける炎症性メディエーターとして機能します10)

 

腫瘍微小環境とは12-14)

腫瘍の増殖に伴い独自の生態系が発達します。これは腫瘍微小環境(TME)と呼ばれます。
TMEは、制御性T細胞(Treg)、マクロファージ、骨髄由来サプレッサー細胞(MDSC:細胞傷害性T細胞を抑制)などの免疫抑制細胞の動員を介して、腫瘍を免疫系から保護することによって腫瘍の生存を助けます(図310-12)

 

PTIはがんドライバーの1つ

炎症とがんとの関連について、150年以上にわたって研究が行われてきました。
PTIはがんドライバーの1つと考えられています(図47,8)
  PTIは、がん細胞の増殖とがんの進行を促進して、発がんプロセスを促します1,4,5,15)
  PTIは、TMEを変化させることにより、腫瘍に対する免疫応答を抑制します16,17)
抗腫瘍免疫とPTIのバランスが崩れると、免疫回避と腫瘍増殖をもたらす可能性があります18,19)
このような作用から、一部のがんにおいてPTIはがんドライバーの1つと考えられます6)

References
1) Ward PA. Chapter 1. In:Fundamentals of Inflammation. 2010;1-16.
2) Medzhitov R. Cell. 2010;140(6):771-776.
3) Akira S, et al. Cell. 2006;124(4):783-801.
4) Fleit HB. Part I. In:Pathobiology of Human Disease: A Dynamic Encyclopedia of Disease Mechanisms. 2014;300-314.
5) Lu H, et al. Mol Cancer Res. 2006;4(4):221-233.
6) Carmi Y, et al. J Immunol. 2013;190(7):3500-3509.
7) Virchow R. Lecture XIV. Cellular Pathology. 1863;321-355.
8) Hanahan D, et al. Cell. 2011;144(5):646-674.
9) Yano S, et al. Cancer Sci. 2003;94(3):244-252.
10) Grivennikov SI, et al. Cell. 2010;140(6):883-899.
11) Greten FR, et al. Immunity. 2019;51(1):27-41.
12) Demaria S. Chapter 11. In:Cancer Immunotherapy. 2013;149-164.
13) Joyce JA, et al. Science. 2015;348(6230):74-80.
14) Jin MZ, et al. Signal Transduct Target Ther. 2020;5(1):166.
15) Rayes EI, et al. Proc Natl Acas USA. 2015;112(52):16000-16005.
16) Song X, et al. J Immunol. 2005;175(12):8200-8208.
17) Imada A, et al. Eur Respir J. 2000;15(6):1087-1093.
18) Gonzalez H, et al. Genes Dev. 2018;32(19-20):1267-1284.
19) Teng MW, et al. J Clin Invest. 2015;125(9):3338-3346.

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